和文本文組の和欧間の空きの設定
グラフィックデザイン・Webデザインの仕事では日本語(和文)・英語(欧文)を横で組む作業が当然発生します。日本語だけの文章を組む場合は気にしなくていいのですが、これだけアルファベット表記が日本の生活に馴染んでいますので、グラフィックデザイナー・Webデザイナーの仕事では、必ずといっていいほど、和文・欧文の書体選定や組版の作業が発生します。
和文の文字と欧文の文字の字と字の間(字間といいます)の設定を行わないと、詰まってしまって読みにくい組版になってしまいます。ここでは、和文・欧文の間のサンプルを踏まえ、設定方法を紹介していきます。DTPの場合はAdobe社の「Illustrator・InDesign」等のアプリケーションソフトで設定ができますので、そのやり方も併せて見て行きましょう。
ポイントは欧文の前後の「アキ量」の設定
基本的に横組みの本文の場合、和文と欧文の間が詰まっていると、読みにくく眼が疲れてきます。本文の文字を組む時、可読性を高める為に和文と欧文の「アキ量」の設定を行います。実際お手持ちの書籍や雑誌の本文を探して、和文と欧文の字間を調べて下さい。「スペース」が入っているのが見つかるはずです。
「アキ量」の基本は「4分アキ」
アキの設定は基本的には「4分アキ」つまり日本語の書体の「仮想ボディ」における「25%」のアキ量を設定します。これは和文ではなく、欧文の前後に設定します。
仮想ボディとは?

書体:リュウミン R-KL(モリサワ)
仮想ボディとは目に見える字の面積(字面)より一回り大きく設定されています。これは日本語は縦組み・横組みと基本的に2方向に組む機会があるからです。書体の開発時に、縦でも横でも組めるように「正方形」の仮想ボディが設定されています。この仮想ボディの25%のサイズが「4分アキ」のスペース(余白)の部分になります。
次に和欧間のアキ量「0」と「25%」のサンプル例を紹介していきます。
和欧間のアキ量「0」のサンプル

書体:和文:A1明朝(モリサワ) 欧文:Adobe Garamond Pro Regular
和欧間のアキ量「0」
和欧間のアキ量「25%」(4分アキ)のサンプル

書体:和文:A1明朝(モリサワ) 欧文:Adobe Garamond Pro Regular
和欧間のアキ量「25%」
サンプルの注意事項
上記のサンプルは和欧間のみの設定としています。ここから和文に対して欧文のサイズ調整やベースラインの調整、和文の文字組の作業が必要となります。サンプルの「Job Stage」の前後にアキが設定されているのが確認できます。これが和欧間における「4分アキ」のスペースの感覚です。これは本文組みでの基本ですが、「見出し・タイトル」で考えると「和欧間」は、若干詰めた方がいいように感じます。この様に、「本文」における組版と、「見出し・タイトル」における組版の感覚が異なることも理解して下さい。
Illustratorで和欧間の「アキ量」の設定方法
1. 「文字組アキ量設定」を選択

Adobe Illustratorのメニューバーの「書式」をクリックするとプルダウンで「書式の項目」が表示されます。その中から「文字組みアキ量設定」を選択して下さい。
2. 新規文字組セットを作成
Illustrator に元々設定されている「約物半角」「行末約物半角」「行末約物全角」「約物全角」の4つは最初に表示されていますが、こちらの設定を変更せずに、最初に新しく「文字組セット」を作成します。「新規」というボタンをクリックすると下記の画面が表示されます。
元とするセットは「行末約物全角」を選択し、適切な名前を入力して「OK」のボタンを押して下さい。

3. 和欧間の「アキ量」の数値を変更
「OK」のボタンを押すと、新しい「文字組みアキ量設定」の画面が表示されます。基本的にはこの数値を適切に設定して、意図する組版を実現していきます。

和欧間の「アキ量」の設定の際に、Illustratorでの設定項目は赤い罫線で囲った「欧文の前後」という項目にあたります。デフォルトで「最適:25% 最小:12.5% 最大50%」と設定されています。この数字を全て25%に変更します。「最適:25% 最小:25% 最大:25%」と設定して下さい。これで例えば、ボディコピーの文字ボックス(エリア内文字)に「ジャスティファイ」をかけたとしても和欧間は常に25%のアキ(4分アキ)の状態で文字を組む事ができます。
設定方法は簡単ですが「和欧間」のアキ量の基本は「4分アキ(25%)」という基準値がある事を知っているか、知らないかでデザイナーとしてのスキルの差になります。「和欧間のアキ量の設定」は、文字組・組版の基本的な事項の1つですので、グラフィックデザイナー・Webデザイナー未経験者の方は、理解しておきましょう
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