括弧の正しい使い方と組み方の基本


ポイントは括弧の挟み方のルール。

「見出し・タイトル」や「和文本文組み」において括弧を使う頻度は高いのは当然ですが、文字や文章を組む際に正しい括弧の使い方を理解できていないと、正しい組版にはなりません。仕事で原稿を貰った際、プロのライターや編集者が書いた文章でしたら問題無いのですが、文章のプロで無い原稿の担当者から、原稿を頂くグラフィックデザイナーやWebデザイナーさんも多いはずです。実際に組んだ例も交えて紹介していきますので、是非この機会に括弧の正しい使い方と組み方の基本を理解して下さい。

括弧の種類は? 括弧類とは?

最初に、括弧には「カギ括弧・二重カギ括弧・墨付き括弧」等、様々な括弧があります。これらを総称して「括弧類」と呼ばれています。デザイン業界未経験者の方へ、デザインの仕事で使用する括弧類の種類を紹介しますので是非、理解しておいて下さい。

和文と欧文でルールが異なります

和文と欧文で括弧の使い方や、使える括弧のルールが異なります。和文のみ、欧文のみ使用できる括弧もありますので注意しながら理解していって下さい。

括弧類の紹介

「  」
「  」は、かぎ括弧と呼ばれ、文章では会話を表現する為に使用されています。引用や、タイトル名・作品名を示す際や、強調する際にも使用される、使用頻度の高い括弧です。
『  』
『  』は、二重かぎ括弧と呼ばれ、かぎ括弧(1重)の中で使用したり、タイトル名・作品名を表記する際、又強調する際に使用します。この二重かぎ括弧の使用方法は少しだけ複雑ですので、後で紹介する例でしっかり理解して下さい。
【  】
【  】は、隅付き括弧・隅付きパーレン・墨付き括弧と呼ばれ、強調したいとき、目立たせたい場合に使用します。
(  )
(  )は、丸括弧・パーレンと呼ばれ、漢字・英語の読み方や、内容の解説に使用されます。
和文本文組みの時は半角ではなく、全角を使用しますので注意して下さい。
〔  〕
〔  〕は、亀甲括弧(きっこうかっこ)・亀の子括弧と呼ばれ、主に縦組みの際に使用される機会が多いです。
{  }
{  }は、ブレース、波括弧、中括弧と呼ばれています。和文本文組みでは使用頻度は高くないですが、使用する際のルールを必ず理解して下さい。見出しのアクセント・強調としても使用されています。
[  ]
[  ]は、ブラケット、角括弧、大括弧と呼ばれ、横組みで使用されます。書体(フォント)には全角・半角あるので注意して下さい。和文本文組みの時は全角を使用します。
〈  〉
〈  〉は、山括弧と呼ばれ、基本的には強調する時、引用を指し示す際に使用されます。

括弧類の使用目的とは?

紹介した、これらの様々の括弧類はもちろん文章の中で目的を持って使用される事になっています。「見出し・タイトル」や「本文組み」において「意味合い」や「強調」を目的とした場合の括弧の使い方を理解している事はデザイナーとして基本的な事となります。文章の内容に応じて括弧類を使い分け「約物」を正しく組めるデザイナーになる為に、続いて、各括弧類の目的や使用方法の注意点を理解していきましょう。

1. かぎ括弧の使い方の注意点

文章では会話を表現する為に使用されています。引用や、タイトル名・作品名を示す際や、強調する際にも使用される、使用頻度の高い括弧です。基本的な括弧になりますので、使用頻度は高く、慣れ親しんでいる括弧ですので、特に問題無いと思いますが、組版においては一点だけ注意すべき事があります。それはかぎ括弧と子カギを混同しない事が重要なポイントとなります。

子カギと通常のかぎ括弧の比較例

書体:ヒラギノ 明朝 Pro – W3

子カギと通常のかぎ括弧を拡大し比較した例です。上の例を見ると分かるのですが少し小さなかぎ括弧が子カギと呼ばれています。かぎ括弧も書体(フォント)の中に、通常のかぎ括弧と、小さな「子カギ」が含まれていますので、原稿で2種類のかぎ括弧が混在する場合があります。デザインの差が微細ですので、テキストエディタ等のアプリケーションソフトの機能「一括検索」を使用して必ず調査する事がポイントです。

2. 二重かぎ括弧の使い方の注意点

括弧類の中で使用方法のルールが少しだけ複雑なのが『二重かぎ括弧』です。『二重かぎ括弧』の使用目的は次の3つとなります。難しくはないので、ここでしっかり理解していきましょう。

  • 「かぎ括弧」の中に「かぎ括弧」を入れ子にする場合
  • タイトル名や作品名を表示する時(入れ子では無い)
  • 文章の中である特定の言葉を強調する時(入れ子では無い)

二重かぎ括弧を使用する例の紹介

1. 会話文の中に他人の言葉を引用する場合

  • 「Job Stageが、『今月、最低賃金法が改定されます』と情報を伝えていたよ。」

かぎ括弧の中にかぎ括弧を入れ子にする場合、会話には「かぎ括弧」を使用し、引用する言葉や文章には「二重かぎ括弧」を使います。「外側に二重かぎ括弧・内側にかぎ括弧」を使用している場合は、修正が必要です。この使い方はデザインのお仕事では頻繁に使用しますのでデザイナーの方は必ず覚えておいて下さい。

2. 作品名やタイトル名に使用する場合

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個々の作品名やタイトル名には「かぎ括弧」。
単行本・雑誌・新聞・Webサイト等の名前・題名には「二重かぎ括弧」を使います。
微妙な意味合いの差を二重かぎ括弧とかぎ括弧で表現しています。

3. 強調する時に使用する場合

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文章の中で、強調したい部分を二重かぎ括弧で囲います。

3. 隅付き括弧の使い方の注意点

隅付き括弧もよく目にする、使用頻度の高い括弧になります。使い方は強調する際、頻繁に使用されます。文章の中に一般的なかぎ括弧や二重かぎ括弧を使用しますが、さらにそれとは違った目的で強調させたり、目立たせたりする際に使います。注意すべき点は、書体のデザインや組版の観点から考えると、他のかぎ括弧と比較した場合、仮想ボディに対して「黒味」が強いデザインですので、かなり目立つ括弧となっていますので、一般的には小見出しやタイトルで良く目にします。

辞書や辞典での組版がポイント

隅付き括弧は、辞書や辞典では「平仮名」の後ろに漢字を表記する際に使用されています。隅付き括弧は特に目立つ括弧ですので視線(目)が止まりやすく、文字の多い辞書や辞典では、視線誘導の役目を担わす目的でも使用されています。デザイン・組版において視線誘導の役割も担える特別な括弧ですのでデザイナーの方は必ず隅付き括弧の重要性を理解しておいて下さい。

隅付き括弧の組版例

隅付き括弧の組版例

書体:リュウミン R-KL(モリサワ) ベタ組み

4. 丸かっこ・パーレンの使い方の注意点

丸かっこ・パーレンは、主に補足説明で使用されます。縦組み・横組みいずれにも用いられる使用頻度の高い括弧です。皆さんも馴染みのある括弧だと思いますが、注意点は全角丸かっこ・半角丸かっこ両方が混在し易い部分ですので、必ず全角の丸かっこを使用するようにして下さい。仕事で原稿を頂いた際も必ずチェックして下さい。

丸括弧の組版例

丸括弧の組版の具体例

書体:リュウミン R-KL(モリサワ) ベタ組み

5. 亀甲括弧の使い方の注意点

〔  〕は、本来は主に縦組みの際に、引用の補足・強調を目的として使用します。横組みの際は、亀甲括弧を使用せず、「ブラケット・大括弧」を使用するのがセオリーでした。ただし、現在は横組みでも、亀甲括弧が使用されるようになりましたので、版面のイメージを優先してどちらかを使用するか決定しているのが現状です。

亀甲括弧の組版例

亀甲括弧の組版の具体例

書体:リュウミン R-KL(モリサワ) ベタ組み

6. ブレース、波括弧、中括弧の使い方の注意点

基本的に[  ]の「ブラケット、角括弧、大括弧」と、(  )の「丸括弧・パーレン」を2つ使用して、さらに括弧を本文に追加したい時に、{  }の「ブレース、波括弧、中括弧」を使用します。優先順位として3番目にあたる括弧ですので注意して使用して下さい。又、その際は亀甲括弧は使用できませんので注意して下さい。

単独で、ブレース、波括弧、中括弧の使う時は、単位系の異なる数値を併記するときに使用します。

  • 10°F {-12.2°C}, 70°F {21.1°C}

7. ブラケット・角括弧・大括弧の使い方の注意点

使用頻度はそんなに高くないのですが「ブラケット・角括弧・大括弧」は、基本的には下の3つのも目的の為に使用します。意外と使い方のルールがややこしいので注意して下さい。

ブラケット・角括弧・大括弧の使用目的

  • 丸括弧の中にさらに括弧を入れ子にする場合
  • 引用部分に補足説明を入れたい場合
  • 強調する際

1. 丸括弧の中にさらに括弧を入れ子にした例文

丸括弧の中にさらに括弧を入れ子にする際は、下記の例のように、外側に「ブラケット・角括弧・大括弧」を使用し、中の説明文を「丸括弧・パーレン」を使用します。グラフィックデザインの例、Webデザインの例2種類を紹介しています。

グラフィックデザインの組版例
丸括弧の中にさらに括弧を入れ子にした組版例

書体:リュウミン R-KL(モリサワ) ベタ組み

Webデザインの組版例
  • [単位:kg(小数点以下は四捨五入)]

書体:リュウミン R-KL(モリサワ) ベタ組み

2. 引用部分に補足説明を入れたい場合

引用部分に補足説明を入れる際も、外側に「ブラケット・角括弧・大括弧」を使用し、中の説明文を「丸括弧・パーレン」を使用します。

グラフィックデザインの組版例
引用部分に補足説明を入れた、参考例1

書体:リュウミン R-KL(モリサワ) ベタ組み

Webデザインの組版例
  • 求人サイト[Job Stage(http://creator.job-stage.jp/)]をご利用下さい。

3. 強調する場合の例文

強調する際は、シンプルに「ブラケット・角括弧・大括弧」で強調したい言葉を囲んで使用します。

  • 転職する際は求人サイト[ジョブステージ]をご利用下さい。

8. 山括弧の使い方の注意点

山括弧は一般的に強調したい箇所や小見出し、タイトルで使用されます。又「引用」した際にも使用されます。一点だけ注意点があり、山括弧は「〈  〉」の文字を使用しますが、数式等で頻繁に用いられる、不等記号と呼ばれる「<  >」が混在しないように注意する必要があります。書体によっては非常にフォルムが似ていますので原稿を受け取った際・文字を組む前に、「不等記号が」用いられていないかテキストエディタの機能「一括検索」を使用して必ず調査して下さい。

グラフィックデザインの組版例
山括弧の組版例

書体:リュウミン R-KL(モリサワ) ベタ組み

不等記号との比較
不等記号の組版例

不等記号と山括弧の比較例です。上の例は不等記号を使用して組んでいます。山括弧と比較すると括弧の形状が全く異なる為、注意が必要です。
※欧文は仮想ボディが正方形でないのでグリッドからずれていますが、べた組みの状態です。

デザインの仕事の中での括弧の重要なポイント

デザインの仕事ではクライアントやライター・編集者から頂いた「原稿」を元に仕事を進めて行きます。原稿の文章内容を全てデザイナー1人で考える事は、専門的な知識を必要としますので、難しいと思いますが、括弧の使い方をチェックする事は可能です。組版を行う前に原稿内の括弧の使い方のチェックも、デザイナーの大切な仕事の一部となっています。