温度の単位「°C」の表示方法と組み方の基本とは?
グラフィックデザイン・Webデザインの仕事上、温度の単位を組む時に困ることが多いデザイナーさんも多いのでは?海外製品の温度計や家電では 華氏 (°F)表示のものが基本ですが、日本では、ご存知の通り摂氏 (°C)です。気温・温度の単位には摂氏 (°C) と華氏 (°F)があり、日本では 摂氏の「°C」という単位が標準的に使用されています。キーボードで「°C」を打って表示させようとするとキーボードのタイプに表示されていないので意外と苦労するデザイナーさんも多いようです。ここでは温度の単位摂氏「°C」の表示方法と組み方の基本を紹介していきます。
最初に「縦組・横組み」の2種類の方法が、ある事を理解しましょう!
同じ温度・気温を表す単位は、見た目は同じですが、「縦組みの・横組み」では使用する文字が異なる事がデザインの仕事で文字を組む際に混乱を生じさせています。2種類ある事を知っているか、知らないかだけの差ですので、是非覚えておいて下さい。
基本的には「縦組み・横組み」では使う文字が異なります!
摂氏の単位、全角「℃」は縦組み用に日本人が発明したもので、横組みの場合は欧文タイプフェイスを応用して、半角の「°」、半角アルファベット大文字の「C」を別々にキーボードでタイプして表示します。縦組みと横組みではキーボードでの出し方も異なりますので注意して下さい。
縦組み用の全角「℃」の出し方
縦組み用は全角の「℃」を使用して、文字を組んでいきます。出し方は、キーボードで、ひらがな「ど」をタイプして、漢字変換すると、候補で「℃」が表示されますので、そちらを選択して下さい。全角一文字の扱いで表示されます。

※Macでの変換画面です。
縦組みで全角「℃」を使用した例

縦組の例です。単位の「℃」の部分は全角一文字です。
※書体:リュウミン R-KL(モリサワ) ベタ組み
横組み用の半角「°C」の出し方
横組みの場合は半角の「°」と、半角アルファベット大文字の「C」を別々にキーボードでタイプして表示します。半角アルファベット大文字の「C」は通常通りキーボードでタイプすれば表示されますが、ポイントは「度」の単位として定義されている「°」です。キーボードをタイプして表示する方法は、「shift」+「option」+「8」を同時に押すと表示されます。ちなみに「C」は温度の単位として定義されている、セルシウス度(degree Celsius)を意味しています。
Illustratorで「°C」をべた組みした例

Adobe Illustratorを使用してべた組みで、組んだ例です。ここでは分かり易く、意図的に色分けして表示してみました。「°」はM(マゼンタ)100%。「C」はK(墨)100%で表示しています。この様に、横組みの場合は、2文字で構成されているのが分かります。
※書体:Adobe Caslon Pro Regular ベタ組み
横組みで半角「°C」を使用した例文

この例文は「リュウミン R-KL(モリサワ)」で単純に横で組んだ例になります。算用数字の「23」とアルファベットに「リュウミン」の従属欧文を使用すると上記の例となりまる。余計な余白ができますので、次の作業として、算用数字の「23」とアルファベットの「°C」を欧文書体に変更します。
算用数字とアルファベット「°C」を欧文書体に変更した例

この例は「リュウミン R-KL(モリサワ)」と相性のいい、「Garamond Premier Pro Regular」を使用して欧文書体を指定しています。すると余白を詰める事なく、余計なスペースも無くなり、和文は「リュウミン R-KL(モリサワ)」のまま綺麗に組む事ができます。
全角は1文字、半角は2文字で構成
以上のように、縦組みの「℃」は、全角1文字で、横組み「°C」は半角2文字で構成されている事が分かります。この組版のルールをデザイナーとして理解していないと仕事上、トラブルの原因となりますので、しっかり理解しておきましょう。
例外もあります!「漢数字を使用して横組みの場合は?」
漢数字を使用して横組みの場合は、例外的に全角の「℃」を使用しても綺麗に組む事が可能です。日本語書体の場合、単位の文字は、漢字や平仮名に馴染むようにデザインされている場合が多いので、全角の「℃」でも問題ありません。迷ったら、比較してどちらを採用するか決めて下さい。
算用数字の場合は、数字の書体は「欧文書体」を指定する事が基本ですので、それに馴染むように、半角2文字の「°C」を使用して組んだ方が違和感なく文字を組む事ができます。算用数字に和文書体の従属欧文を使用する場合は「全角・半角」を実際組んでみて比較してから決めて下さい。
見出し・タイトルの組版の場合
縦組は全角の「℃」、横組は半角2文字で構成されている「°C」が基本ですが、見出し・タイトルで使用する場合は、このルールに従う必要はありません。デザインに正解は無くデザイナーの感性が優先されるべき部分ですので、デザインに応じて全角・半角を使い分けても問題ありません。可読性がしっかり確保され、デザインのクオリティが高ければ、どちらでも問題ないです。基本を理解していれば応用も効きますので、知らなかった業界未経験者のデザイナー志望の方は、最初に基本を理解して下さい。
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